ポリプロピレンのコニカルチューブにフェノール:クロロホルム = 1:1を入れて長期間保存しても侵されないのに、クロロホルムだと直ぐに侵されるのはなぜですか?
ChatGPT:
とても良い質問です。ポリプロピレン(PP)製のコニカルチューブがクロロホルム単独では劣化するのに、フェノール:クロロホルム(1:1混合液)では長期間保存できる理由は、以下のような溶媒の物理化学的性質の違いと混合による効果によります。
✅ 結論を先にまとめると:
クロロホルム単独はポリプロピレンに対する溶解力が非常に強いが、フェノールを混ぜることでその溶解力が弱まり、材料を侵しにくくなるためです。
🔍 詳しい理由の解説:
1. クロロホルムの性質とPPへの影響
クロロホルム(CHCl₃)は非極性溶媒であり、ポリプロピレン(同じく非極性)の高分子鎖を膨潤させたり溶かしたりする能力が高いです。
PPは耐薬品性に優れる素材ですが、非極性有機溶媒(例:クロロホルムやベンゼンなど)には比較的弱い傾向があります。
クロロホルムがPPに触れると、分子間に入り込んで素材を柔らかくしたり、ひび割れ・白化・もろくなるなどの劣化を引き起こします。
2. フェノールとの混合による変化
フェノールは極性を持つ芳香族化合物であり、水素結合能も持っています。
クロロホルムと混ざることで、混合溶媒系の性質(誘電率や溶解パラメータなど)が変化します。
特に、**ヒルデブラント溶解度パラメータ(δ値)**が変わると、ポリプロピレンに対する「親和性」が下がります。
その結果、混合液はポリプロピレンに対してそれほど強く作用しなくなるのです。
3. 混合比が重要
フェノール:クロロホルム = 1:1 という比率は、ちょうど分離溶媒としての性能と材質への安全性を両立するバランスです。
これに対して、クロロホルム100%だと「攻撃性」が高くなりすぎてPPを侵します。 |
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