キットに付属のキャプチャー抗体ではちゃんと検出できるということですから、使用している系自体(試薬等)には問題ないということですね。
そうなるとやはり考えらるのは、ディテクション用の抗体との組合せ(相性)の問題が濃厚です。
考えられる可能性を順に検討してどの工程に問題があるのか絞りこみ、対照をきちんとおいて検証をおこなっていきましょう。
面倒でも、それが結局は早道だと思います(お金をかけないなら手間はかけないと^^;)。
(1)キャプチャー抗体の固相化ができていない
この可能性はどのような方法で検証されたのかはわかりませんけど、棄却できるのですね。
(2)キャプチャー抗体と抗原の反応がうまくいっていない
抗体のカタログには使用用途が併記されていると思います。
同じ抗原に対する抗体でも、立体構造を保持している抗原タンパクのエピトープを認識できるもの(免疫染色やフローサイトメトリー、ELISA等で使用可能)と、変性してメンブレンにブロットされた抗原タンパクのエピトープを認識できるもの(WBでのみ使用可能)などがあります。これはその抗体が認識するエピトープ部位が、元々抗原タンパクの表面に露出している部位だったか内部に折り込まれた部位だったかで異なってくるのだと思います。
ですので、まずは購入した抗体の使用用途をカタログで確認してください。
質問者さんはキャプチャー抗体が抗原を捕捉できていない可能性が高いと判断されていますけど、とりあえず購入した5種の抗体のうち1つは免疫組織染色で抗原を認識できていたわけですから、少なくともその抗体についてはELISAの系でも抗原を捕捉しているはずです。
ただし、組織中の膜結合型は認識できても、血清中の遊離型は認識できないという可能性は残されます。これはおおさんが指摘されているように標準物質がリコンビナントでエピトープ部位が失われている場合と同じ理屈ですね。
免疫組織染色の系にこの標準物質を過剰量加えたときに添加量に比例して競合阻害がかかるようでしたら、この可能性は棄却できます。
(3)ディテクション抗体が、抗原を認識できていない
キャプチャー抗体が認識するエピトープ部位が、ディテクション抗体と同じ部位である可能性があります。
キャプチャー抗体とディテクション抗体が認識する抗原エピトープ部位が同じであれば、キャプチャー抗体に捕捉されている抗原のエピトープは(キャプチャー抗体で)マスクされた状態になりますから、当然後から加えるディテクション抗体は競合阻害されて結合できません(ディテクション抗体がポリクロであれば他のエピトープ部位に結合できる抗体も含まれていますから、そういう問題はほとんど起こりません)。
免疫組織染色の系にこのディテクション抗体を加えても競合阻害がかからないようでしたら、二種類の抗体は互いにエピトープ部位を奪い合っていないということになりますから、この可能性は棄却できます。
(4)標識酵素が失活していたり、発色反応がうまくいっていない
キットオリジナルのキャプチャー抗体ではうまく検出できているのですから、この可能性は棄却できますね。 |
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