目的とする膜タンパクが界面活性剤の作用で、可溶化画分に抽出されてくるのか不溶画分に残留するのかは、免役沈降法においては「naiveな」というよりは根本的な問題だと思います。
一般論として、それぞれの界面活性剤の効果は、細胞膜や核膜の脂質構成や膜タンパク質構成、あるいはリピッドラフトなどの局所構造の影響等を受けるでしょう(つまり相性がある)。
ですから免役沈降法での解析を始めるにあたっては、まず目的とするタンパク質を(高次構造を大きく変性させずに)可溶化分画に溶出しうる界面活性剤(および処理濃度)を探すことから始めるわけです。
そのための代表的な界面活性剤のセットも数社から市販されています。
まずは関連文献を集めて、ヌクレオプラズムに集積していることが明らかになっている他のタンパク質を免役沈降法で解析している文献でどのような可溶化剤を用いているか調べてみれば、質問者さんの実験でも有効な界面活性剤が見つかることと思います。
既報・先例がない実験系なのであれば、質問者さん自身が、目的としているタンパク質を可溶化画分に溶出しうる界面活性剤を予備実験でスクリーニングするしかありません。免役沈降法の対象にしうるタンパクであれば、ウェスタンブロット法で簡単に確かめられるはずです。
それと核膜画分と細胞膜画分は簡単に別けれるのに、あえて混ぜて解析する意味がわかりません。ただでさえ免役沈降法では可溶化されたバッファー環境という非生理的条件におけるタンパク間相互作用を観察しているにすぎないわけですから、そこに本来は核膜上に存在しない細胞膜タンパクまで混在させてしまったら益々生理的条件ではありえないようなタンパク間相互作用(いわゆるアーティファクト)を観察してしまうリスクが増えてしまうだけではないでしょうか。 |
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