原理的にも経験的にはパルス時間はなるべく短い方がよいと思っています。
@パルス後のコンピテント細胞を、選択剤の入ってない平板培地に接種してみて、ほとんどコロニーが生育してこないとしたら、パルス時間が長すぎてほとんどの細胞が死んでいるから不適切
A(@でパルス後のコンピテント細胞の生存を確認した上で)パルス後のコンピテント細胞を、選択剤の入っている平板培地に接種してみて、ほとんどコロニーが生育してこないとしたら、DNA濃度がうすすぎて直鎖状DNA断片がほとんど細胞内に導入されていない(その結果相同組換えも起こっていない)から不適切
ということになりますね。
でもまぁ、(変異株作成実験では)数値なんて目安にすぎず、要は結果がすべてです。たとえ5.00 msecジャストだったとしても、変異株のコロニーが一つも生育してくれなければ意味がないのですから…。
精製時にDNA断片の脱塩が不十分だと、電気伝導性が高くなって過電流にの原因になりますから、DNA断片の精製度はクリティカルな要因になります。
また、環状プラスミドの場合と異なり、直接、直鎖状DNAを染色体上に導入するにはDNA断片の両端で同時に相同組換えが起こって(染色体上に選択用の薬剤耐性遺伝子が導入されていなければ)選択剤入りの平板培地上にコロニーを形成してくれませんので、エレクトロポレーションの効率は高いに越したことはありません。
初めてする実験系の場合は、問題が発生したときにどのステップに問題があるのか検証できるように対照群をきちんとおいて実験するようにしてくださいね。
特にあなたが行おうとしている実験は、形質転換効率と相同組換え効率(しかも同時に二ヶ所)の二つの要因を内包する実験系ですから、まずは環状プラスミドを用いて、どのくらいの形質転換効率を得られるのか確認するところから始められる方がよいと思います。 |
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