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TGFbetaの細胞内プロセシング トピック削除
No.3398-TOPIC - 2014/09/24 (水) 07:03:59 - TGF
ある遺伝子Xの機能解析の過程で、TGFbetaを調べる事になったのですが、今までTGFbetaを扱った事がなく、困っています 。

これまでの実験で、Xを293T細胞に過剰発現すると、TGFbetaの細胞外への分泌が低下する事が分かりました。過剰発現していない293Tの培地には成熟型のTGFbeta(還元SDS-PAGEで13kDa)が検出され、Xの過剰発現によりウエスタンでは検出できなくなります。どちらの培地にもプロペプチド(pro-TGFbeta、還元SDS-PAGEで55kDa)は検出できません。一方、細胞ライセートを取ると、55kDaのpro-TGFbetaのみが検出され、成熟型は検出できませんでした。X過剰発現でpro-TGFbetaの発現レベルには変化はありませんでした。

TGFbetaは細胞表面に結合している可能性もあるため、 293Tをトリプシン処理して細胞表面タンパクを消化してからライセートを取ってみると、過剰発現していない細胞では、pro-TGFbetaがウエスタンでの見た目1/5くらいに減少したのに対し、X過剰発現細胞ではトリプシン処理による減少が見られませんでした。この結果から、Xの過剰発現によりpro-TGFbetaの細胞表面への露出が抑制されているのではないかと当初疑いました。

しかし、TGFbetaのレビュー論文を幾つか見ると、pro-TGFbetaは細胞内(trans-Golgi)でプロテアーゼFurinにより切断され、成熟型TGFbetaとプロペプチド断片となった後、その断片と成熟型が非共有結合により繋がった複合体(latent TGF beta complex)を形成し、その形で細胞外に分泌されるとされています。この複合体を還元条件でSDS-PAGEすると、ペプチド自体は切断されているので、13kDaの成熟型と40kDa前後のプロペプチド断片として検出されるようです。よって、細胞表面に結合しているTGFbetaは55kDaのpro-TGFbetaではなく、13kDaと40kDaの複合体と考えられ、自分の実験が何を見ているのか分からなくなってしまいました。

細胞内で切断されるのであれば、細胞ライセートで13kDaの成熟型が検出されると思うのですが、自分のウエスタンでは一回も検出できません。幾つか論文あるいは抗体のカタログを見てみましたが、細胞ライセートで13kDaの成熟型を検出しているものが見つかりません。Furinによるpro-TGFbetaの切断を示した論文(Am J Pathol. 2001; 158(1): 305–316)を見ても、細胞内での切断を示す決定的なデータが無いように思われ、疑心暗鬼になっています。どなたか、TGFbetaのプロセシングに詳しい方がいらしたら、助言頂けると助かります。よろしくお願いします。
 
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(無題) 削除/引用
No.3398-7 - 2014/09/25 (木) 21:14:10 - TGF
今回初めてTGFbetaについて調べ始めたところなので、私も不確かなところが多々あるのですが、文献的には、細胞内で作られた糖鎖修飾のないpro-TGFbetaは 40kDa前後(理論値にほぼ一致)で、その後、糖鎖修飾及びSS結合による二量体化を経て、55kDa(非還元で110kDa)になるようです。私自身の実験では、マウスの初代培養細胞で細胞タイプによっては40kDa前後のマイナーバンドが55kDaと一緒に検出されましたが、293Tでは今のところ55kDaしか検出できていません。

Furin阻害剤の情報ありがとうございます。どのように使うのがよいか、考えてみます。

(無題) 削除/引用
No.3398-6 - 2014/09/25 (木) 06:12:43 - おお
たしかにSDSPAGE上で55kDaと思っても、それがfull-lengthに対応するか見極めが必要ですね。

新発見と力の入った論文にするかどうかはいろいろと判断の上でとなるでしょうけど、我々の実験系だとこのような結果でしたぐらいの報告はあなたのその実験の論文に加えればまあ新規性という意味でも報告価値があるとおもいます。

各社chemicalなfurin inhibitorsを出しているようですね。確かに特異性とかいろいろな面で気をつけて使えるかどうか判断しないといけないでしょうけど。

ttps://www.emdmillipore.com/US/en/product/Furin-Inhibitor-I---Calbiochem,EMD_BIO-344930?CatalogCategoryID=
ttp://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/scp0148?lang=en&region=US
ttps://www.caymanchem.com/app/template/Product.vm/catalog/14965

ところでTGF-betaは糖鎖修飾はどうなってるんでしょう。これが絡むとサイズももう少し複雑になってくるかも

(無題) 削除/引用
No.3398-5 - 2014/09/24 (水) 21:36:10 - TGF
te-さん

コメントありがとうございます。巷で言われている事と異なる結果を得た時に考えてしまうのは、まず「何かとんでもないミスをしているのではないか」という事になります。「新発見かどうか」は当分先の話と思っています。55kDaのタンパクがpro-TGFbetaかどうか、今のところまったく自信が無いので、ここをつめる事が先決ですね。このような現象がTGFbetaの仕事をなさっている方々の間で問題になっていないのであれば、自分で解決するよりないのですが、Furinで切ってみてどうなるかは重要と思います。ご指摘ありがとうございます。検討してみます。

(無題) 削除/引用
No.3398-4 - 2014/09/24 (水) 18:54:32 - te-
TGFbetaが特異的に検出できているのならば、新発見と主張できる?細胞表面タンパクをfurinで消化してみるとか??

(無題) 削除/引用
No.3398-3 - 2014/09/24 (水) 16:25:20 - TGF
おおさん、お返事ありがとうございます。

Furinは細胞表面でも活性を示すと言われているようです。また、分泌もされるようなので、細胞外で切断する可能性もあると思われます。

私が見ているTGFbetaはendogenousです。TGFbetaの過剰発現ではプロペプチドのまま分泌される事もあるようで、おっしゃられるようにプロテアーゼによる切断が追いついていない可能性が指摘されています。

Xは分泌タンパクで、293Tではendogenousの発現がウエスタンでは検出できません。過剰発現でも細胞内Xタンパクは検出できず、99%以上が培地から検出されます。Xの過剰発現で分泌系の動態をgeneralに乱している可能性はありますね。

Furinを阻害するタンパクが、どこかの論文に出てたと思うので、検討してみます。

レビューにおいて、著者自らのhypothesisを一般化している事は良くあると思うのですが、複数のレビューで、細胞内プロセシングが判を押したように既知事実のごとく記載されているため、この領域の研究者の間でコンセンサスとなっているのかどうか、気になるところです。

(無題) 削除/引用
No.3398-2 - 2014/09/24 (水) 08:47:28 - おお


詳しくないんだけども、ある系でFurinが関与していることが示されていても、あなたの系で同じことが起こっているかわからないわけだし、レビューでこれがTGF betaのプロセッシングだとかかれてても、本人達が持っているデーターからのhypothesisでしかない場合もあるので、そう言う意味では発表されていることを(発表されたデーターのなかで当てはまるtheoryでも)既知の事実と思うのは危険だと思います。

furinは抗体のカタログの絵など見ると、コルジにアバンダントそうなのもあるけど、比較的細胞全体に染まっているようなものもおおいので、細胞膜表面でもプロセッシングがおこるかもしれません。

TGF betaはベクターなどを使って強制発現しているのでしょうか?それならプロセッシングなどが追いついていないかもしれません。

Xが膜蛋白で過剰発現でみているなら、これもごゴルジー小胞のtransportなどに過剰なタンパク質合成により乱して (停滞させて)いるかもしれません。

furinは使えそうなinhibitorがあるんでしょうか。そう言うところから少し状況を固めていった方がいいかもしれません(ただこの場合ポジコンが難しそうだけど、いるような気がしますけど)。

TGFbetaの細胞内プロセシング 削除/引用
No.3398-1 - 2014/09/24 (水) 07:03:59 - TGF
ある遺伝子Xの機能解析の過程で、TGFbetaを調べる事になったのですが、今までTGFbetaを扱った事がなく、困っています 。

これまでの実験で、Xを293T細胞に過剰発現すると、TGFbetaの細胞外への分泌が低下する事が分かりました。過剰発現していない293Tの培地には成熟型のTGFbeta(還元SDS-PAGEで13kDa)が検出され、Xの過剰発現によりウエスタンでは検出できなくなります。どちらの培地にもプロペプチド(pro-TGFbeta、還元SDS-PAGEで55kDa)は検出できません。一方、細胞ライセートを取ると、55kDaのpro-TGFbetaのみが検出され、成熟型は検出できませんでした。X過剰発現でpro-TGFbetaの発現レベルには変化はありませんでした。

TGFbetaは細胞表面に結合している可能性もあるため、 293Tをトリプシン処理して細胞表面タンパクを消化してからライセートを取ってみると、過剰発現していない細胞では、pro-TGFbetaがウエスタンでの見た目1/5くらいに減少したのに対し、X過剰発現細胞ではトリプシン処理による減少が見られませんでした。この結果から、Xの過剰発現によりpro-TGFbetaの細胞表面への露出が抑制されているのではないかと当初疑いました。

しかし、TGFbetaのレビュー論文を幾つか見ると、pro-TGFbetaは細胞内(trans-Golgi)でプロテアーゼFurinにより切断され、成熟型TGFbetaとプロペプチド断片となった後、その断片と成熟型が非共有結合により繋がった複合体(latent TGF beta complex)を形成し、その形で細胞外に分泌されるとされています。この複合体を還元条件でSDS-PAGEすると、ペプチド自体は切断されているので、13kDaの成熟型と40kDa前後のプロペプチド断片として検出されるようです。よって、細胞表面に結合しているTGFbetaは55kDaのpro-TGFbetaではなく、13kDaと40kDaの複合体と考えられ、自分の実験が何を見ているのか分からなくなってしまいました。

細胞内で切断されるのであれば、細胞ライセートで13kDaの成熟型が検出されると思うのですが、自分のウエスタンでは一回も検出できません。幾つか論文あるいは抗体のカタログを見てみましたが、細胞ライセートで13kDaの成熟型を検出しているものが見つかりません。Furinによるpro-TGFbetaの切断を示した論文(Am J Pathol. 2001; 158(1): 305–316)を見ても、細胞内での切断を示す決定的なデータが無いように思われ、疑心暗鬼になっています。どなたか、TGFbetaのプロセシングに詳しい方がいらしたら、助言頂けると助かります。よろしくお願いします。

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