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KOマウスの維持中、ヘテロにだけ出現するPCRバンド トピック削除
No.5418-TOPIC - 2016/09/20 (火) 20:15:12 - シルク
いつも勉強させていただいております。
どうしても解釈に苦しむ現象があり、お知恵を拝借したく存じます。

ある機関にCRISPR/Cas9を用いたKOマウスの作成を依頼しました。
NGSでdeep sequenceを行い、2塩基欠失の結果Premature stop codonが得られた系から、ヘテロマウスを成果物として受け取りました。これをもとに、バックグラウンドをそろえた野生型マウス(C57BL6J)と掛け合わせ、F1, F2と増やすことにしました。

Genotypingの手法を検討したところ、たまたま変異箇所にレアな制限酵素サイトが出現していたため、変異箇所を挟む300bp程度のPCR産物を、制限酵素で切断する手法を用いることとしました(変異が2塩基欠失ということもあり、特異的なプライマ設計は様々に試みましたが困難でした)。

ところが、Genotypingを進めるうちに奇妙な現象にいきあたりました。
すなわち、

<ホモ>
・300bpの1本バンド(厳密には298bpですが区別できません)
・制限酵素でより短い2本に切れる(想定通りの長さ)
・PCR産物のDirect sequenceでは、変異のみを確認できる

<WT>
・300bpの1本バンド
・制限酵素で全くきれない
・Direct sequenceでは、野生型のみを確認できる

<ヘテロ>
・300bpの他に、350、380bpのバンドが出現
・制限酵素で、300bpのバンドが消えて、ホモと同様に短い2本に切れる
・Direct sequenceで、Forward primerはシグナル重複が激しく読めず。Reverse primerでは変異箇所の直前まで正しく読めている。

Direct sequenceの結果から、PCRに用いてるForward primerが非特異的なバンドの原因だろうと推測されましたが、ホモとWTの個体で検出されない点が矛盾します。

またさらに不思議なことに、1本バンドを示すホモの個体とWTの個体を掛け合わせると、上記のヘテロと同様、350、380bpの”非特異的”バンドが復活します。この現象は複数回の掛け合わせで例外なく再現されています。

現在、ヘテロでみられるそれぞれのバンドをクローニングしてシークエンスを確認しておりますが、上記のように
「ヘテロ個体のみで変異箇所を含むPCRバンドが複数出現する」現象をうまく説明するアイデアはあるでしょうか。

わかりにくい説明で申し訳ございません。
不明な箇所はなるべく詳細に追記いたしますので、コメントいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 
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(無題) 解決済み 削除/引用
No.5418-14 - 2016/09/26 (月) 22:33:11 - シルク
APさん、信さん、またご覧いただいた皆様

ご指導ありがとうございます。
その後、検証を重ねました。

プライマ濃度を様々にふりましたが、想定以外のバンドは消えませんでした。
しかしサイクル数を25まで減らした結果、バンドは1本になりました。

また、想定以外のバンドをクローニングしてSequenceを読んだ結果、野生型と変異型が確認できました。

以上から、ご指摘いただいた通り、heteroduplexであった可能性が高いと考察いたしました。
当方のラボにはこうした事例の経験がなく、自力でたどり着くには相当の時間が必要であったろうと想像しております。大変貴重な勉強をさせていただきました。ご指導誠にありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.5418-13 - 2016/09/21 (水) 21:15:16 - シルク
APさん、様々なアドバイス誠にありがとうございます。

早速、
1)サイクル数を40から30に減らす
2)Primer濃度を倍にする
3)Primer濃度を倍にしてサイクル数を30に減らす
の3条件を試してみましたが、残念ながら結果は変わりませんでした。
もう一度追試してみます。
とりいそぎご報告まで。

さらに検証結果が出ればご報告いたします。
私にとっては貴重なトラブルシューティングの機会であり、僭越ながら同様の経験をされるかもしれない方々と、経験を共有できればと思っております。

(無題) 削除/引用
No.5418-12 - 2016/09/21 (水) 10:54:27 - AP
Heteroduplexはミスマッチの部分で対合できずに開いた状態であ一本鎖のループができたりして立体的に嵩高くなるので移動度が遅くなるのでしょう。複数のバンドに別れるのは、不安定で一定の構造を取りにくく、比較的安定するフォームが複数あるということじゃないでしょうか。Heteroduplexの組み合わせも二種類ありますし(WT+:Mu-, Mu+:WT-)。


ちなみに、Heteroduplexで移動度がシフトすることを利用して、まさにCRISPR/Cas9で誘発した欠損体をスクリーニングする方法もあります。WTとcandidatesのPCR産物のHeteroduplexを生じさせてバンドのシフトを見つけるわけです。

移動度の違いは不対合による立体構造によりますから、Surveyorなどで切った場合、不対合が解消されますから、mutantが切れたときと重なるパターンになるでしょう。

Heteroduplexを生じさせない方法としては、理屈の上だけですけれど(PCRはなかなか理屈どおりに行かない)、サイクル数を少なくする(理由は前にふれたとおり)、プライマーが枯渇しないように多めにする、鎖長が短いほどハイブリダイズのカイネティクスが高いのでアニール時間を極力短くして鋳型同士よりプライマーのほうが選択的にハイブリダイズするようにする、などが考えられますが、いかがでしょう。

ExTaqはTaqに構成活性のある耐熱性酵素を混ぜたものです(詳細は非公開)。

(無題) 削除/引用
No.5418-11 - 2016/09/21 (水) 09:33:51 - シルク
信さん、なるほど、やはり3本でておられたのですね。
大変参考になります。
Heteroduplexの可能性をさらに検討してまいります。


信さんのご経験と私どものバンドの出方とから、heteroduplexの泳動パターンをイメージしていたのですが、この場合、変異箇所で全体のconformationが変わるために泳動パターンが予想と異なって出てくるというイメージで正しいでしょうか?

また、信さんの場合は出現したHeteroduplexは1種類ですが、
私どもの場合は、区別できない298bp,300bpのPCR産物により、350bp、380bpの2種類のHeteroduplexが出てきております。アニーリングのパターンが異なる2種類がでていると考えることもできますが、298/300bpでマッチする相手と、異なる場所でアニールするというのは想像しがたいようにも思います。

それとやはり、Direct sequenceの際、片側がよめて反対が読めないという点が引っかかっております。

いただいたアドバイスは手を動かして検証してまいりたいと思います。
その他、どんなアドバイスでも頂戴できれば幸甚です。
ご指導よろしくお願い申し上げます。

(無題) 削除/引用
No.5418-10 - 2016/09/21 (水) 08:06:57 - 信
すみません。誤記がありました。
210ではなく、200でした。(50塩基欠失のため)

はい。ヘテロの細胞では3本が出ていました。強さの比ははどうかはノートを掘り出さないと思い出せませんが。

> また、300bpのheteroduplexが出ないようにするため、なにかPCR条件に工夫はされましたでしょうか。

いえ、結局クリアできませんでした。
論文のデータにするためにheteroduplexと思われる300のバンドを示したくなかったので、TAクローニングすることで気持ち悪い気もしましたが、スルーしてしまいました。

heteroduplexが起きていたとしてもなぜ、200、250よりも長い300ほどのバンドが出てしまうのかが今を持ってしても分かりません。すみません根本的な解決にはなっていませんよね。。

(無題) 削除/引用
No.5418-9 - 2016/09/21 (水) 02:47:54 - シルク
信さん、貴重な経験談、誠にありがとうございます。

ご提示いただいたケースの場合、300bpのheteroduplexしか認められなかったのでしょうか?それとも、210、250、300bpの3本バンドになったのでしょうか?

また、300bpのheteroduplexが出ないようにするため、なにかPCR条件に工夫はされましたでしょうか。

大変参考になります。この問題で2週間ほど悩んでおりましたので、こんなに早く解決のヒントを与えていただいたことに感謝しております。
何卒ご指導、アドバイスなどよろしくお願いいたします。

(無題) 削除/引用
No.5418-8 - 2016/09/21 (水) 02:34:00 - 信
AP様、トピ主様、

私も同様の現象に遭遇したことがあります。

ある遺伝子のヘテロの細胞で、cDNAを調製し、変異部位(50塩基の欠失)を中心にPCRを行うと、予想では250と210bpが確認されるはずが、300付近に必ずバンドが出ていました。
WTでは確認されないバンドです。

heteroduplexを疑い、結局TAクローニングして、個々のRNAをクローニングすることで、WTと50塩基が脱落した配列を確認することができました。またこのTAクローニングでは30コロニーほど読みましたが、どれも300のバンドは確認されませんでした。

(無題) 削除/引用
No.5418-7 - 2016/09/21 (水) 01:59:00 - シルク
APさん、ありがとうございます。

もしかしてExTaqのExは、Exonuclease活性から来ていたのでしょうか・・・
不勉強でお恥ずかしい限りです。
校正活性のない酵素がラボにないか探してみます。
本当に勉強になります。
引き続きよろしくお願いいたします。

(無題) 削除/引用
No.5418-6 - 2016/09/21 (水) 01:11:11 - AP
ExTaqもKODも校正活性があるので不向きです。ふつうTaqを使うべきでしたね。

(無題) 削除/引用
No.5418-5 - 2016/09/21 (水) 00:41:30 - シルク
APさん、お早いレスポンス本当にありがとうございます。

> 野生型のゲノムDNAとホモ接合変異体のそれを混ぜ同様の条件でPCRして、同じ現象が再現できれば、予想の裏付けになるでしょう。

これは思いつきませんでした。仰る通りだと思います。
早速、検証事項に加えます。


> survaylor nucleaseとかS1 nucleaseのようなミスマッチの一本鎖部分を切る酵素で処理すると切れない産物も切れるかも。

これはやってみようかと思っておりました。ただし、HeteroのPCRバンドがそもそも3本あるので、結果によっては解釈が難しくなる気がしております。


> アリル特異的プライマーでのタイピングを試したときは、校正活性のない酵素、例えば古典的なTaqでやりましたか?

酵素はExTaq, KOD plusを用い、DMSO添加なし、2%、10%でTm値を55度から70度まで5度刻みで試しましたが、TaqとKODともに変異特異的なPCRは確率できませんでした。


ご指導ありがとうございます。
いただいたアドバイスをもとに検証をすすめてまいります。
今はどんなヒントでもいただけるだけいただきたい思いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

(無題) 削除/引用
No.5418-4 - 2016/09/21 (水) 00:17:51 - AP
補足として、思いついたことを羅列します。

heteroduplexができるような過剰な条件でやったために、不正なプライミングを起こした産物が混じり、ダイレクトシークエンスが困難になっているのかも。

野生型のゲノムDNAとホモ接合変異体のそれを混ぜ同様の条件でPCRして、同じ現象が再現できれば、予想の裏付けになるでしょう。

survaylor nucleaseとかS1 nucleaseのようなミスマッチの一本鎖部分を切る酵素で処理すると切れない産物も切れるかも。

アリル特異的プライマーでのタイピングを試したときは、校正活性のない酵素、例えば古典的なTaqでやりましたか? 校正活性があると、プライマー3'末端のミスマッチを削ってしまい、アリル特異性なくPCRがかかります。

(無題) 削除/引用
No.5418-3 - 2016/09/20 (火) 23:24:01 - シルク
> Heteroduplexができてるんだろう。
> PCRサイスルの回し過ぎじゃないか?
> つまりPCR産物が混み合ってきて、一本鎖変性のあとプライマーとアニールするより、PCR産物同士がアニールしやすくなっている。ヘテロ接合の場合、野生型産物の一方の鎖とと変異型産物の相補鎖がduplexを形成したんじゃかいか。

早速のアドバイスありがとうございます。
プライマ濃度やサイクル数を変更して、早速検討してみたいと思います。

ただ、不勉強のままお尋ねしてしまい恐縮ですが、もしもHeteroduplesであった場合、Direct sequenceの結果が説明できないと考えるのですが、いかがでしょうか。
すなわち、HeteroのPCR産物をForward primer, Reverse primerでSequnceした際に、Forwardは重複が多く読めず、Reverseは変異部位直前まで正しく読めるという現象を説明できないように思います。

検討の結果が出次第、情報を更新させていただきたいと思います。
引き続きアドバイスを頂戴できれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

(無題) 削除/引用
No.5418-2 - 2016/09/20 (火) 21:22:24 - AP
Heteroduplexができてるんだろう。
PCRサイスルの回し過ぎじゃないか?
つまりPCR産物が混み合ってきて、一本鎖変性のあとプライマーとアニールするより、PCR産物同士がアニールしやすくなっている。ヘテロ接合の場合、野生型産物の一方の鎖とと変異型産物の相補鎖がduplexを形成したんじゃかいか。

KOマウスの維持中、ヘテロにだけ出現するPCRバンド 削除/引用
No.5418-1 - 2016/09/20 (火) 20:15:12 - シルク
いつも勉強させていただいております。
どうしても解釈に苦しむ現象があり、お知恵を拝借したく存じます。

ある機関にCRISPR/Cas9を用いたKOマウスの作成を依頼しました。
NGSでdeep sequenceを行い、2塩基欠失の結果Premature stop codonが得られた系から、ヘテロマウスを成果物として受け取りました。これをもとに、バックグラウンドをそろえた野生型マウス(C57BL6J)と掛け合わせ、F1, F2と増やすことにしました。

Genotypingの手法を検討したところ、たまたま変異箇所にレアな制限酵素サイトが出現していたため、変異箇所を挟む300bp程度のPCR産物を、制限酵素で切断する手法を用いることとしました(変異が2塩基欠失ということもあり、特異的なプライマ設計は様々に試みましたが困難でした)。

ところが、Genotypingを進めるうちに奇妙な現象にいきあたりました。
すなわち、

<ホモ>
・300bpの1本バンド(厳密には298bpですが区別できません)
・制限酵素でより短い2本に切れる(想定通りの長さ)
・PCR産物のDirect sequenceでは、変異のみを確認できる

<WT>
・300bpの1本バンド
・制限酵素で全くきれない
・Direct sequenceでは、野生型のみを確認できる

<ヘテロ>
・300bpの他に、350、380bpのバンドが出現
・制限酵素で、300bpのバンドが消えて、ホモと同様に短い2本に切れる
・Direct sequenceで、Forward primerはシグナル重複が激しく読めず。Reverse primerでは変異箇所の直前まで正しく読めている。

Direct sequenceの結果から、PCRに用いてるForward primerが非特異的なバンドの原因だろうと推測されましたが、ホモとWTの個体で検出されない点が矛盾します。

またさらに不思議なことに、1本バンドを示すホモの個体とWTの個体を掛け合わせると、上記のヘテロと同様、350、380bpの”非特異的”バンドが復活します。この現象は複数回の掛け合わせで例外なく再現されています。

現在、ヘテロでみられるそれぞれのバンドをクローニングしてシークエンスを確認しておりますが、上記のように
「ヘテロ個体のみで変異箇所を含むPCRバンドが複数出現する」現象をうまく説明するアイデアはあるでしょうか。

わかりにくい説明で申し訳ございません。
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よろしくお願いいたします。

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