Bio Technical フォーラム

  • バイオ関連の実験をする上での、試薬、機器、プロトコールなどの情報交換の場です。
  • 新しいテーマで話を始める場合、質問をする場合は「新しいトピックを作る」から書き込みをしてください。
  • 質問に対して解答できる方は是非、書き込んで下さい。
  • このフォーラムにふさわしくないと管理人が判断した投稿は予告なく削除します。

新しいトピックを作る | トピック一覧 | 研究留学ネットに戻る

ひとつ前のフォーラム(readのみ)

このスレッドをはてなブックマークに追加このスレッドをはてなブックマークに追加

ヒト肺癌細胞株と正常肺線維芽細胞の遺伝子発現比較 トピック削除
No.5564-TOPIC - 2016/11/22 (火) 10:00:46 - SKLU
ヒト肺癌細胞株におけるある遺伝子の発現を、正常肺由来の線維芽細胞と比較する実験を、定量RT-PCRで行う予定です。マウス肺癌モデルの解析から、肺線維芽細胞と比べ、腫瘍細胞においてその遺伝子発現が極めて低いという結果を得ており、ヒトでどうかを確認する目的です。マウスの腫瘍ではその遺伝子の欠失は無いため、ゲノムにおける遺伝子量の変化ではなく、遺伝子発現の差によるものと考えています。

何種類かヒト肺癌細胞株を購入したのですが、どれも異倍体であることに気がつきました。その目的遺伝子が乗っている染色体の数を見ると、細胞株によって2本から4本の間でばらつきがあり、遺伝子発現がゲノムの遺伝子量に影響される可能性があります。一方で、内部標準に用いる予定の遺伝子が乗っている染色体の数も、細胞株によってかなりばらついています。このような場合に、内部標準を用いた相対発現量で、目的遺伝子の発現の細胞間比較を行うのは、方法論として問題があるような気がしてきたのですが、皆様どう思われますでしょうか?
 
- このトピックにメッセージを投稿する -



9件 ( 1 〜 9 )  前 | 次  1/ 1. /1


(無題) 削除/引用
No.5564-9 - 2016/11/26 (土) 18:20:28 - asan

そもそも”高い”か”低いか”というのは相対的なものなので、あくまで近い細胞種同士でないと発現量の違いを相対定量するのは無理があります。例えば、tissue blotなんかをWBやRT-PCRを用いてマウスでやると、18sでもGAPDHでもb-actinでもコントロールによってマチマチな結果が出たりして明らかに発現組織が違うのでない限り確実な事はいえないかと思います。

ヒト肺の正常な肺組織由来の細胞株ならTIG-とかWI-38あたりは有名ですのでそれらを使うしかないでしょうね。ただ、そういう発現シグニチャーとして特定の遺伝子に着目するなら方法としては多くの遺伝子プロファイルを見て、正規化したときに上位に来るという形で(つまりZ-scoreかするとか、ノンパラメトリックなランクづけをする)しかないかと思いますけどね。実際RNAseqなんかだと全体でノーマライズするのが一般的でしょうから。

細胞数で補正するのはかなり難しそうなので、一応やり方的にはtotal RNAに対する量とかで補正をかけた上でコピー数に落とし込むなんかをするのがいいのかな〜と思いますけどね。あとは、論文の主旨にもよるでしょうが、一応複数のハウスキーピング遺伝子で補正をかけて同様の結果が出るなら大丈夫かもしれませんね。後は、探せば意外とhuman lung primary サンプルなんかを提供してる業者はあったと思いますからそういうのと比べるとかでしょうか。

(無題) 削除/引用
No.5564-8 - 2016/11/25 (金) 05:42:11 - おお
実験で確認するか、同じ細胞を使ってインターナルコントロールでこれはだめだと経験的に言われているものも場合によってあるので、それは調査するか(みつかるかどうかは問題ですが、、、)でしょうね。

たしかに18sは悪い噂もあります。18sを含め2、3インターナルコントロールを比較してそれぞれ同じようだったら18sでなくてもいいですし。18sはかなり量が多いのは事実でそれを問題視している人はいますけど、その理屈はいまいち私はわかっていません。それを解決するためにプライマーを工夫して云々という話は何処かで見たことがあるような気がします。Ribosomal binding proteinsのなかの一つがインターナルコントロールとして組織間でばらつきがないというのを見たことがあります。

プライマーは18sならランダムプライマーが一般的でしょう。他にもしようがあるでしょうが、どこまで受け入れられているか言う意味ではよくわかません。

(無題) 削除/引用
No.5564-7 - 2016/11/24 (木) 10:03:36 - SKLU
おおさん、どうもありがとうございます。リボゾームRNAをコードする遺伝子群について十分理解できているとは言えない状態ですが、18Sを第一候補で考えてみようと思います。確認のため、もう少し質問させて下さい。

(1)リボゾームRNA遺伝子群は、マルチコピーで複数の染色体に分散して存在するので、異倍体化によるコピー数の変化の影響も分散し、結果として1コピーしかない他のハウスキーピング遺伝子と比べ異倍体化による影響が小さくなるとの理解でよろしいでしょうか? そうであれば、18Sが一番理にかなっていると思うのですが、この場合逆転写はランダムプライマーですよね?

(2)18Sはかなり量が多いと予測されるのですが(挙げて頂いた論文を見るとbeta-actinやbeta2-microglobulinの発現もかなり多いようですが)、この点は一般的に問題にはならないでしょうか?

(3)挙げて頂いた論文の一つでは、18Sに否定的な結論になっていますが、マウス骨髄単球由来の破骨細胞やマクロファージが用いられており、著しい異倍体化は生じていないと予測されます。結局のところ、実験系に応じて最適の内部標準を個別に検討する(実際に実験して確認する)しかない、という事になるのでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.5564-6 - 2016/11/23 (水) 02:38:01 - おお
そもそもハウスキーピングと呼ばれる遺伝子がインターナルコントロールになるというのは癌に限らずかなりラフな手法なので妥協案とも言えるかと思います。細胞一個あたりのコピー数換算はやることができるならやってみるといいでしょうけどよほどうまくやらないと信用できるデーターになるだろうかという心配もあります。

安心材料は細胞にはホメオスタシスという機能が備わっているので、過剰な状態に逸脱しそうなら抑制したりして調整しているだろうともいえます。ただこれも単なる安心材料でしかありません。

実際文献を見てみますとGAPDHやアクチンなどでコントロールを取っていることはおおいいと思いますので、いくらか文献を見ながら(使った根拠は書いてないことがおおいでしょうけど)使えそうなのを選ぶというのもやり方かもしれません。

言えることはどれだけ厳密にやろうとしても、完全(正確)に細胞の発現量を把握する方法論はありません。したがってqPCRは一つの発現量の変化の示唆であり、他の実験などと組み合わせながら本質を見極めることになるかと思います。またそのようにするべきかどうかはその遺伝子を見る理由や研究の位置づけにもよるとおもいますので、ケースバイケースで結論が違うでしょう。

ところで、rRNAをつかえばどうかという話をしたのですが、それについてはどうでしょうか。マルチコピーの遺伝子は染色体の数の変動による影響が少ないと思われますので。

文献をあさるとインターナルコントロールについて考察したものも探せます。
ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3499178/
ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3204251/

また質問にあるような懸念を書いているものもあるにはありますね。。。
ttps://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3825189/

(無題) 削除/引用
No.5564-5 - 2016/11/22 (火) 19:02:34 - SKLU
おおさん、コメントどうもありがとうございます。目的の遺伝子については、おっしゃられる通り、一細胞あたりでの発現量が重要であり、コピー数は気にする必要がない気もしますが、内部標準で相対定量するところで、引っかかる感じがあるんですよね。

例えば、一定数の細胞からRNAとゲノムDNAを抽出し、各種ハウスキーピング遺伝子のコピー数とmRNA発現をqPCRで定量する事により、「1細胞」及び「1コピー」あたりでの遺伝子発現の安定性を見てみる、といった感じの予備実験をした方が良いのかな、とも思うのですが、、、

(無題) 削除/引用
No.5564-4 - 2016/11/22 (火) 18:41:34 - SKLU
CDさん、コメントどうもありがとうございます。おっしゃる通りと思います。少し説明不足だったと思うので、追加です。

マウスのモデルでは、腫瘍組織に集まってきている線維芽細胞(正常とは言えません)と、腫瘍細胞及びその他の造血系細胞(マクロファージなど)を短期培養で分離し、遺伝子発現を調べました。結果、線維芽細胞特異的な遺伝子発現が見られました。この所見を支持する結果がヒト肺癌でも見られるかどうか、というのが実験目的で、まさにCDさんの2の指摘の通りです。

ヒト肺癌組織へのアクセスは、自前で確保しているのですが、マウスと違って、分離培養を自由にできるほどのサンプルが得られません(組織切片、遺伝子診断、などにほとんどが用いられてしまうので)。この遺伝子は、分泌タンパクをコードしており、ほとんど細胞外に分布するため、免疫組織化学では発現細胞を同定できず、In situ hybridizationの準備中です。線維芽細胞特異的なマーカーがなく、うまく行ったとしても腫瘍ストローマでの発現を確認できるところまでかと思っており、線維芽細胞での発現を他の方法でサポートしたいと考えています。その一つとして、細胞株を用いる事にしたのですが、正常肺由来線維芽細胞では不十分かもしれません。最初の実験がうまく行くようなら、正常繊維芽細胞と肺癌細胞株の共培養でどうなるかを検討する予定ですが、定量PCR自体に疑問を感じたので、このまま進めるかどうかちょっと悩んでいます。

(無題) 削除/引用
No.5564-3 - 2016/11/22 (火) 15:06:18 - おお
異倍体などの件については、染色体が何本あろうと、そこからmRNAができて、更に蛋白ができてその蛋白の活性が細胞に与える影響が重要なわけだから、結局は細胞の中で発現している量が(厳密には活性だけど)ものを言うのでは?


インターナルコントロールは数種類取って動いてなさそうなものを選ぶしかないでしょう。Ribosomal RNAとかちょっと前に流行ったけど量が多すぎて比較しにくいみたいだけど、マルチコピーあるので染色体の数に影響されにくいかもね。ただGAPDHにしょろハウスキーピングで必要量細胞が発現していると考えれば染色体の数云々じゃないだろうとは言えると思いますけどね。

(無題) 削除/引用
No.5564-2 - 2016/11/22 (火) 14:21:05 - CD
癌研究がメインフィールドではない者の戯言として呼んでもらえればと思いますが。

1.個人的には株化細胞と初代細胞を用いて遺伝子発現を比較したくはありません。得られるデータから何ら説得力のある説明を引き出せるとは思えないからです。だってCell lineじゃん、って言われたら反駁はきびしいかと思います。幸い?肺がんはありふれた疾患ですし、適切なコラボレータを見つけられれば比較的速やかにヒトの肺がん組織は手に入るのではないでしょうか。もちろんIRBでの評価が必要となるので時間は取られますが、Reviewerから突っ込まれやすいデータを提示するよりも実は近道なのではと思います。

2.なんで”肺がん”と”正常線維芽細胞”を比較しているのでしょうか?マウスの肺がんモデルがどのようなものかは知らないのですが、”がん”と言っている以上は上皮系の悪性腫瘍ってことですよね?であれば肺の上皮細胞をコントロールに置くべきではないでしょうか?あるいはTumor bearing miceでの線維芽細胞と正常マウスの線維芽細胞を比べるべきでは?実はSKLUさんがみた遺伝子は線維芽細胞に特異的に発現していて、上皮細胞には発現していない、ってだけではないですか? 確率的にはこっちのほうが有り得そうな・・・気がします。

ヒト肺癌細胞株と正常肺線維芽細胞の遺伝子発現比較 削除/引用
No.5564-1 - 2016/11/22 (火) 10:00:46 - SKLU
ヒト肺癌細胞株におけるある遺伝子の発現を、正常肺由来の線維芽細胞と比較する実験を、定量RT-PCRで行う予定です。マウス肺癌モデルの解析から、肺線維芽細胞と比べ、腫瘍細胞においてその遺伝子発現が極めて低いという結果を得ており、ヒトでどうかを確認する目的です。マウスの腫瘍ではその遺伝子の欠失は無いため、ゲノムにおける遺伝子量の変化ではなく、遺伝子発現の差によるものと考えています。

何種類かヒト肺癌細胞株を購入したのですが、どれも異倍体であることに気がつきました。その目的遺伝子が乗っている染色体の数を見ると、細胞株によって2本から4本の間でばらつきがあり、遺伝子発現がゲノムの遺伝子量に影響される可能性があります。一方で、内部標準に用いる予定の遺伝子が乗っている染色体の数も、細胞株によってかなりばらついています。このような場合に、内部標準を用いた相対発現量で、目的遺伝子の発現の細胞間比較を行うのは、方法論として問題があるような気がしてきたのですが、皆様どう思われますでしょうか?

9件 ( 1 〜 9 )  前 | 次  1/ 1. /1


パスワードを入力してチェックした記事を チェックした記事を

このトピックにメッセージを投稿する
名前 
メール   アドレス非公開
   タイトル 
本文      
設定  クッキーを保存(次回の入力の手間を省けます)
上に上げない(トピックの一覧で一番上に移動させません)
解決(問題が解決した際にチェックしてください)
暗証  半角英数字8-12文字の暗証番号を入れると、あとで削除、修正ができます。
送信 

〔使い方〕
  • 「アドレス非公開」をチェックすれば、自分のメールアドレスを公開しないで他の方からメールを受け取れます。
  • 問題が解決した際には、解決ボタンをチェックして解決した旨のコメントをつけてください。これは、初めにトピックを作った人と管理人のみが可能です。
  • 半角カタカナ、機種依存文字(全角ローマ数字、○の中の数字等)は文字化けの原因となりますので使わないでください。