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結合タンパク質の真偽について。 トピック削除
No.7873-TOPIC - 2019/05/08 (水) 17:07:56 - 質量分析
いつも勉強させていただいています。

私はある膜タンパク質のリガンドを同定する目的で、人Fc部位を融合させた細胞外ドメインの組み替えタンパク質を用いてプルダウン実験によりリガンドを同定しようとしています。

試料はマウスの胚ライセートを用い、質量分析計にてタンパク質同定を行いました。
同定された中で、マスコットスコアの値が高く、膜タンパク質であるものを1つ選び、それにつき、免疫沈降法で両者の結合を確認できました。その実験は組み替えタンパク質で胚ライセートをプルダウン後にその抗体でウエスタンを行って確認をしました。

ところが、両者の組み替えでは結合が確認できませんでした。
タグを変えたりしましたがダメでした。

私はこの手(ブロテオーム解析)は初めてで、質量分析の結果からプックアップしたものが免疫沈降でも確認が取れたことにすごいな、と自分で感動していたのですが、今ではその熱量も冷めつつあります。

解釈としては、直接的な両者の結合はなく、間に第三者がある可能性はあるかと思います。そのほかに、これをみなさんからお聞きしたいのですが、プルダウンで見られた結合はアーチファクトである可能性もあるのでしょうか?

プルダウンで結合が見られたのならそれには意味があるはずで、第三者の同定を進めるのが次の計画としてやるべきものなのか、それとも組み替えタンパク質同士でけつごが見られなければプルダウン結果はアーチファクトで深追いはしない方が良い、と考えるべきなのか悩んでいます。

経験豊富な皆様からコメントがいただけるた大変有り難いです。
稚拙な文章で大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 
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(無題) 削除/引用
No.7873-7 - 2019/05/09 (木) 13:35:07 - おお
asanさんがうまくまとめてくださいました。

単純にアーティファクトだと言い切れるラインがあるものではないと思います。裏どりできないものをどう捕らえるかだと思います。個別のInteractionをみてポジと出ない場合、研究をそれ以上さきにどのように進めるのかということになると、MSで同定しました、個別にIP(など)でInteractionを確認しましたという流れでは論文がかけないわけで、そのほかのアプローチでかくか、アーティファクトの可能性が高いのでパスするかという話にはなると思います。
アーティファクトの可能性としてはたとえばポジのたんぱく質に結合するようなたんぱく質も同様に取れているかなど、ある程度判断材料になりうるものがあります。局在もそうですが、そういう判断材料も絶対的なものではありません。細胞膜に存在するものがその後核内で見つかったりとかいう話もありますし、そういう制御が生物学的にも特徴的なら一つ注目を浴びる材料にもなりますから。

間に第三者がある可能性はMSであっても、個別のプルダウンであってもありうるので、個別のプルダウンでポジでも必要があれば調べる事になります。そこを調べるのは個別の研究の進め方で決まります。

結合が弱いとか、一時的で安定したコンプレックスを形成しないばあい確かにInteractionを見にくい場合があります。クロスリンクIPというような手法もありますのでもし興味があれば調べてみてください。

(無題) 削除/引用
No.7873-6 - 2019/05/09 (木) 13:33:23 - み
両者が膜貫通蛋白と仮定して、肝臓特異的に発現する受容体と脳特異的リガンド蛋白をみているような場合、いくら実験的に結合しても意味ないんじゃない?って思うから、やっぱり内在性の両者の局在が気になる。
生理的に出会う機会が皆無でも癌化や疾患発症時に共存する場面があるとか言ったらきりがないけど、それなら証明してくださいと思う。
もちろんsheddingされて内分泌的に遠隔作用するとか可能性は色々あるけど。
あとFcキメラは2量体の状態でキャプチャーしてるのかな。本来の構造が単量体ならその辺りの違いも考慮しないと。
本物の意味のある会合を発見するにはやるべき事がたくさんあるね。

(無題) 削除/引用
No.7873-5 - 2019/05/09 (木) 13:07:43 - asan

いくつか結果を整理して、何をOKとして何をアウトと考えて論文にまとめたいかによります。

基本的には、アーティファクトといっても
1. 質量分析のアサイメントの性質による偽陽性
2. Pulldownのプロセスで生じた非特異的結合またはノイズ

があるとおもいます。このうち1に関してはいわゆるDIAを行ってアサイメントした場合はFDRで偽陽性をひろうことになるので、個別の結合の信頼性は個別に(多くの場合別の技術的な手法で)確認して証明することが求められると思います。2.に関してはビーズやFc領域にベタベタと吸着する非特異的結合をたまたま拾ってきてる可能性もゼロではないのですが、ネガコンとの比較をしてれば一応問題ないと考えます(MSのデータの場合は定量性をどのように扱うかによっては0,100アプローチになる)。
↑いずれも個別でWBによるバリデーションはとってるので、これらの議論は当てはまらないとおもうので、生化学的にちゃんとした結合があるというのは一応言えると思います。そこまでで小さな論文クオリティの結論にはなります。

それ以降は、結合の意義をどう解釈するかなどにもよります。
リコンビナント同士での結合が見られない場合はin vitroでの直接的な結合がないことはわかりますが、それが第三者を介した結合だからなのか、リコンビナントタンパク質の翻訳後修飾の有無とか、こファクターが重要なのかはわかりませんね。要は、どういう結合を想定してて、何を目指すのかにもよると思いますけど、現在の方法で結合が見られるなら、293Tとかの細胞に無理やり発現させてみたり、deletion作ったりすることは一つの解析です。
一方で、リガンドレセプターの関係に意味を持たせるなら、遺伝学的なノックアウトノックダウンなどを利用してフェノタイプアッセイで検証してくという話にもなるでしょう。フルペーパーで大きな仕事をねらってるならいずれの観点も必要だと思いますけどね。

いずれのことを述べた上で、たくさんの結合遺伝子を扱った観点から言わせてもらうと、あるタンパク質に対する結合ってのは通常DIAで回収するとざっくりと数百ぐらいの候補は出てきます。その中でバリデーションが取れる分子が複数あったとして、その結合が全くの未知機能タンパク質同士の場合一番苦労するのはその結合の生物学的意義があるのかないのかを調べることだったりします。その意味でいうなら、細胞内で確かに結合はあるけど、それ自体に大きな意味はないかあっても非常に限定された状況での特殊な機能に関わるなんて話だとそれこそアーティファクトではないが、本質的に意味のある結合かどうかの議論は難しいですから違う候補分子を解析した方が良いなんてこともあります。

長々となりましたが、ようは、どういう結果からどういう結論を仮定を可能性として出すかですよ、研究なんてのは。

(無題) 削除/引用
No.7873-4 - 2019/05/09 (木) 09:10:54 - mp
同定されたリガンドも膜タンパクなら受容体のFc融合蛋白を使ってFACSができますよね。リガンドが発現してない細胞では光らず、それにリガンドを導入した細胞では光るとかで、ある程度は直接結合が証明できると思います。あとはduolinkで近接性をみるとか。

(無題) 削除/引用
No.7873-3 - 2019/05/09 (木) 08:15:50 - nanasi
リガンドも膜タンパクと言うことでしょうか?

膜タンパクの組換蛋白は必ずしも正常な構造をとってるとは限らない気がしますが、その辺は解決できてるのでしょうか?

(無題) 削除/引用
No.7873-2 - 2019/05/09 (木) 00:34:20 - み
胚をリガンド探しのための材料にされていますが、内在性のリガンドとレセプターの両者の局在は一致するのか?また内在性の両者の会合は免疫沈降で確認できるのか?

Fc融合蛋白とホモジネートをビトロで混ぜ混ぜして結合したからと喜んでも仕方がない。幾らでもアーチファクトを拾える実験系でしょう。時間的に空間的に両者が出会う機会はあるのか?魅力的な候補なら抗体が販売されてなくとも自分で作って検証するくらいでないと。

直接でも間接でも共沈するものはするし、親和性が低かったり結合が一過性なら難しいものもあるでしょう。

結合タンパク質の真偽について。 削除/引用
No.7873-1 - 2019/05/08 (水) 17:07:56 - 質量分析
いつも勉強させていただいています。

私はある膜タンパク質のリガンドを同定する目的で、人Fc部位を融合させた細胞外ドメインの組み替えタンパク質を用いてプルダウン実験によりリガンドを同定しようとしています。

試料はマウスの胚ライセートを用い、質量分析計にてタンパク質同定を行いました。
同定された中で、マスコットスコアの値が高く、膜タンパク質であるものを1つ選び、それにつき、免疫沈降法で両者の結合を確認できました。その実験は組み替えタンパク質で胚ライセートをプルダウン後にその抗体でウエスタンを行って確認をしました。

ところが、両者の組み替えでは結合が確認できませんでした。
タグを変えたりしましたがダメでした。

私はこの手(ブロテオーム解析)は初めてで、質量分析の結果からプックアップしたものが免疫沈降でも確認が取れたことにすごいな、と自分で感動していたのですが、今ではその熱量も冷めつつあります。

解釈としては、直接的な両者の結合はなく、間に第三者がある可能性はあるかと思います。そのほかに、これをみなさんからお聞きしたいのですが、プルダウンで見られた結合はアーチファクトである可能性もあるのでしょうか?

プルダウンで結合が見られたのならそれには意味があるはずで、第三者の同定を進めるのが次の計画としてやるべきものなのか、それとも組み替えタンパク質同士でけつごが見られなければプルダウン結果はアーチファクトで深追いはしない方が良い、と考えるべきなのか悩んでいます。

経験豊富な皆様からコメントがいただけるた大変有り難いです。
稚拙な文章で大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

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