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バクテリアカルチャーの継代 トピック削除
No.8418-TOPIC - 2019/11/18 (月) 09:39:15 - りきっど
バクテリアを液体培地で培養して低温保存すると菌体が底に沈みます。継代培養するときに上澄みを取って新しい培地に加えるように教わりました。全体を混ぜずに上澄みを取るのはなぜですか? 対数増殖期に4度の冷蔵庫に容器ごと移して保存しています。
 
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(無題) 削除/引用
No.8418-10 - 2019/11/20 (水) 06:47:26 - insert
APさん、ちきさん

回答どうもありがとうございます。

なるほど、ちきさんは「うすめて再スタートするのは変、おかしい」ではなく、「遠心して上清をとること」がおかしいとおっしゃられてたんですね!

早とちりで大変失礼しました。


そしてAPさんによる説得力ありすぎる解説ですが、心から納得です。

単細胞生物だからこそ、その瞬間の状態のみではなく、分裂して新たに生まれて(?)くる細胞の状態・代謝状況・生理形態に目を向けなければいけなかった、という話ですね。

言われてみれば、それぐらいのことに考えが及ばなくてどーすんの、って気もしてきてお恥ずかしい限りですが、微妙に気になっていたことが解決してすっきりしました。


いい質問の場を提供いただいたりきっどさんにもお礼申し上げます、どうもありがとうございました!

(無題) 削除/引用
No.8418-9 - 2019/11/19 (火) 18:26:23 - ちき
原理的な話はAPさんから回答があったので、practicalな話です。

(遠心なり静置なりした)培養の上清をうすめる、のではなく、overgrowした(均一な)培養をうすめる、ことはInoue法でコンピテント細胞をつくる際に自分でもやることがあります(新しい菌株を使ったりして条件が決まるまでの間など)。その時は、「うすめた後に平均一回分裂すりゃいいだろう」という経験則でやっています。OD=0.5で集菌したくて、これを大幅に越えてしまったときは0.25ぐらいにして、0.5になるまで培養するということです。Inoue法のような低温培養でなければあっという間に増えるので、もっと希釈率をあげるとか、starter cultureから植え直すのでも全然構わない訳ですが。

対数増殖期の大腸菌を必要とする実験のすべてがこれでうまくいくのかは知りません。実験ごとに条件を出す必要があるでしょう。

(無題) 削除/引用
No.8418-8 - 2019/11/19 (火) 18:11:05 - AP
例えばこんな論説を見ると、対数期と定常期は単によく殖えるあまり殖えないってことだけじゃなく、生理的な違いは大きいんだとわかります。
https://www.annualreviews.org/doi/full/10.1146/annurev.micro.58.030603.123818?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub%3Dpubmed

(無題) 削除/引用
No.8418-7 - 2019/11/19 (火) 17:30:51 - AP
定常期の「くたびれた」細胞そのものが、新鮮な培地にうつすと「元気になる」んじゃなくて、分裂し新生されてくる細胞が増殖期の生理状態になってくるってことでしょう。大腸菌にとって増殖=分裂は生殖ですから。

だからといって、増えすぎたから薄めてやり直しというのは、プラクティカルにはいいこともあるでしょうが、行儀がいいとは言えない。
ストックから、もたもたしないで速やかに必要なスケールに増殖させてすぐ使うのが鉄則でしょう。植え継ぎ植え継ぎでだらだら増やすとその間に変異やプラスミドの脱離が起こったり、危険性があることですから。
宿主株なんかではF'因子を保持していなければならないのがあったりして、コンピーテントセルを調製するのにそんなだらだらやってたらF'因子落ちまくりでしょう。

対数期が好まれることが多いのは、増殖率がいいからっていうより、増殖期の生理状態が好ましいということでしょう(活発に増殖するのはその作用の一つに過ぎない)。定常期に達すると、いろいろな代謝経路が落ちてきて、やがて増殖が止まりますが、そういう代謝経路が低下した生理状態というのが良くないというのが一つ、それと経路によって低下する速さや度合いが違うので、それらのバランスが定常期では崩れているのが好ましくない、というのが一つ。
たとえば核酸の合成よりタンパク質の合成のほうがはやく減速するために、定常期に入った大腸菌は細胞サイズが小さくなるなんてこともあるそうです。

(無題) 削除/引用
No.8418-6 - 2019/11/19 (火) 14:22:24 - insert
横からの質問で恐縮ですが、「うっかり培養しすぎたら云々」は、私も見たことある気がしますね。

こちらの方もそんなこと書いてらっしゃいます。(ただの個人サイトの記述に過ぎませんが)
http://cse.fra.affrc.go.jp/ksaitoh/CompetentCell.html

実際、「OD行き過ぎたら薄めて、はいリセット〜」って、そんなんあり?!と一瞬思えたりもしましたが、ODが行き過ぎて、いわば「くたびれた」大腸菌であっても、薄めて環境が良くなればまた元気になるのかな、結局目的はlog phaseで活発に増えている元気な集団を捕まえることであり、行き過ぎてリセットしても、最後集めるときに目的のODであればそれでいいのかな…などといった感じで自分を納得させていましたが、ちきさん的には「いやその理屈はおかしい」という話なのでしょうか…?

例えばコンピ作製時、OD=0.5で集める予定であれば、OD=2を最終的に4倍量のバッファーで懸濁すれば同じことなのか?現実的にはダメな気がするんだけど、果たしてODによって実際大腸菌の何がどう違っているというのか?疲れてるの?単細胞生物が…?などなど、仮に後輩なんかにそんな感じの質問されたら、何と返せばよいのか答えに困窮してしまう気がします。


というわけで、ちきさんの助言・書き込みは常々あまりにも有能・有用・理知的の極みに感じるので、ぜひご意見賜りたく横槍質問させていただきました。

何か色々冗長な書き込みで恐縮です。


(あと関係ないですが、以前、井上先生を実際に知る方が寄稿された、井上法コンピにまつわるコラム記事(ひょっとしたら、井上先生あるいは野島先生自身の手によるもの?)をウェブで読んだ記憶があるのですが、今探したら見つけられませんでした。ご存知の方がもしいらっしゃったら、リンク紹介していただけると嬉しいです)

(無題) 解決済み 削除/引用
No.8418-5 - 2019/11/19 (火) 13:14:13 - りきっど
ちき さん、 Lenski の実験を調べました。興味深いです。

遡ってバクテリアを単離した方に聞きに行くと「自分はプレートで培養していたが、液体培養を希釈するときは全体を攪拌して取るだろう」とのことでした。上澄みを取る方法は一般的でない個別な理由があるようです。

大腸菌の方の記載はよく分かりませんでしたが、自発運動のある微生物の分画方法として見たことがある気もします。

では、最初の問題について解決済みとします。ありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.8418-4 - 2019/11/19 (火) 11:30:54 - ちき
普通の実験で液体培養から新たな液体培地に植菌するって、starter cultureをうすめる時ぐらいしかないような気がしますが、その時に植菌量が制御できないのは問題ではないのかな。それでいいなら、コロニーからひろい直しても同じような。
それともLenskiの実験みたいなことをやってるのでしょうか。

> >うっかり培養しすぎたら遠心して上清をまた培養し続けても良い

これ、最初に見たとき、「変なこと書いてるなー」と思いました。

(無題) 削除/引用
No.8418-3 - 2019/11/19 (火) 10:51:44 - りきっど
AP さん,お返事ありがとうございます。

教えてくれた方に質問したら「沈殿には死菌が多いから。上澄みにも菌がいてそれで十分だから」とのことでした。しかし、選択が掛かってしまうようで私も不合理に感じます。

こちらのフォーラムの過去スレッドで
http://kenkyuu2.net/cgi-biotech2011/biotechforum.cgi?mode=view;Code=420
>うっかり培養しすぎたら遠心して上清をまた培養し続けても良い

と書かれていて、これは井上・野島法について話されているので、クローニングに用いる大腸菌でも上澄みを取って継代するように受け取れます(1998年の実験医学は見られませんでした)。

(無題) 削除/引用
No.8418-2 - 2019/11/18 (月) 16:14:26 - AP
そんな作法は知りませんでした。
研究室独自の伝承じゃないでしょうか?
それとも、クローニングに大腸菌を使うくらいの話じゃなくて、一般細菌かなにかで特別は取り扱いがあるのでしょうか?

上澄みをとった場合、静置した期間によっては全く、細菌体が含まれないということもある、あるいはどの程度の細菌体が含まれるかをコントロールできない、という点で、不合理な手順だと思います。
また、そもそも細菌の液体培養液を低音保存して、そこ継代するというのは、遺伝的あるいは細菌の性質上の変容を進行させる危険性があるので避けるべき(クローニング宿主として用いる大腸菌にしても、細菌一般にしても)というのがコンセンサスじゃないでしょうか。

バクテリアカルチャーの継代 削除/引用
No.8418-1 - 2019/11/18 (月) 09:39:15 - りきっど
バクテリアを液体培地で培養して低温保存すると菌体が底に沈みます。継代培養するときに上澄みを取って新しい培地に加えるように教わりました。全体を混ぜずに上澄みを取るのはなぜですか? 対数増殖期に4度の冷蔵庫に容器ごと移して保存しています。

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