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酸性フェノールとDNA・RNA トピック削除
No.8641-TOPIC - 2020/02/11 (火) 10:03:15 - PhE
ラボの後輩に「一本鎖DNAのフェノクロ処理は酸性フェノールか中性(塩基性)フェノールか」と聞かれ、酸性フェノールはRNA用だから、塩基性でいいと思うよと答えたところ、「でも調べたら、酸性フェノールにRNAが溶けるのはフリーな窒素原子と水素原子が水素結合を形成するからで、二本鎖DNAはフリーの窒素原子が露出していないため…と出ていたよ。そうすると、一本鎖DNAは、窒素原子がフリーだからRNAに近い気がするけど?」と反論されました。

そもそも「RNAには酸性フェノールを使うのはなぜ?」と聞かれ、RNAにはOH基があるから…と答えたら、「いや違うよ。それもあるのかもしれないけど、一番の理由はそうじゃないっぽいよ」という前置きの後に上の反論をもらったんですが、実際普段大して考えずに使っているので、上手く反論できませんでした。

(なお、口調から分かるかもしれませんが、後輩は非日本語話者です)

時間もなかったので結局なあなあで終わったんですが、実際の所本当に水素結合うんぬんが関連してくるんでしょうか…?

ちなみに私も後輩も、化学的な話には全く無頓着で、あまりきっちり考えることをしないタイプ(褒められた話じゃありませんが…)であり、お互い分子レベルの物性を全く頭の中で整理・理解できていない状況です。

無駄話もまじり長くなりましたが、結論として一本鎖DNAは酸性フェノールを使ってはいけないのか、また簡単にその理屈をご教示いただけますと幸甚に存じます。
 
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(無題) 削除/引用
No.8641-10 - 2020/02/12 (水) 07:00:24 - PhE
おおさん、改めてありがとうございます。

人に質問された時に、それぐらい答えられて初めて一人前と言える感じですね。

正直、そもそも電荷を失うことと水への溶解との関係性すら明瞭にイメージできていないような、物性・化学知識が凡レベル以下なので、そこから始めなければいけないのかもしれません。

ただ、自分のことを棚に上げる訳ではないのですが、今時の学生(特に生物系の場合)って、「何が起きてそうなるのか」といったことを頭の中で体系だって整理・理解しないまま、漫然とマニュアルに従っている、という人がもの凄く多いように思います。

ペーパーテストで電離とかそういうのを問われればそれっぽいことを答えて丸をもらえたりするんですけど、実際の現象に落とし込むといいますかその知識を現実とリンクさせるといいますか、そういうのに全く欠けているような感じですね。


実際、例えばふと思いましたが、なぜタンパク質はフェノールで変性されてぶっ壊れるのに、核酸は平然と水に溶けたままでいられるのか?同じ高分子なのに…と問われたら、ちょっと調べないとすぐには自信を持って答えられませんもんね。


どうでもいい話になりましたが、そういう所も疎かにしないように、精進するよう頑張ろうと思います。

(無題) 削除/引用
No.8641-9 - 2020/02/12 (水) 06:19:56 - おお
大体解決済と思われますが、整理してみるといいかと思います。

適切な酸性条件ではDNAは電荷を失いRNAは電荷を保っている。
シングルストランドの拡散はプリン、ピリミジン領域が露出してより水相に行きやすい傾向がある。

まずこの二点を踏まえながらシングルストランドDNAとシングルストランドRNAを比較するとそれでも抽出に使われる酸性条件で、RNAは電荷を保っていてDNAは保っていないのでRNAほど水相には行かないだろう。

RNAは確かにシングルストランドだけど、tRNAやUsnRNA、リボソームなどステムループなどを作りながらかなりの部分がダブルストランドであるが。酸性フェノールで水相にきてmRNAと一緒に精製される。またmRNAも何らかの構造を(部分的かもしれないけど)もっていて、あまりシングルストランドとダブルストランドの違いは影響しないように思える。

(無題) 削除/引用
No.8641-8 - 2020/02/12 (水) 05:29:39 - PhE
おおさん・APさん、重ね重ねありがとうございます。

まさにAPさんのおっしゃる通りですね。酸性フェノール処理後、DNase処理をした後ですら、DNAを完全には除き切れていないのが現実です。

改めてのアドバイス(中性以上は万能で、酸性は能動的にDNAを除きたいという用途)も、完璧な説得力を伴い、確実に自分の身になる知識として定着するような、ありがたい指摘でした。


これに限らず、明らかに原理や歴史をしっかり把握しないまま何となく使っているものがあまりにも多いため、最低限よく使うものぐらいは自分で何がどうなってるのかしっかり整理しておかなくてはな、と改めて感じ入った次第です。

ご協力、大変ありがとうございました。

(無題) 削除/引用
No.8641-7 - 2020/02/11 (火) 15:15:01 - AP
脇道にそれてしまった感があるので念のため、
> 「一本鎖DNAのフェノクロ処理は酸性フェノールか中性(塩基性)フェノールか」
中性化フェノールです。
ssDNAの酸性フェノールに対する溶解性がどうあれ、全ての核酸種の精製で中性化フェノールはオールマイティですから酸性フェノールを選択する理由がない。
酸性フェノールを選ぶのはRNAとDNAを分離する目的があってこそですから。

ssDNAとdsDNAを分離したいという腹づもりがあるからそういう疑問を持ったってんなら別ですけど(だったら他の常法があるはずだけど)。

(無題) 削除/引用
No.8641-6 - 2020/02/11 (火) 14:50:01 - AP
分配抽出ですから100:0にはならないでしょう。
でもAGPC法でかなりのDNAが除去できて、用途によってはそのまま使える程度、それでもさらにDNase処理が必要になることがあるほどにはDNAが残存している、ってなことは経験上身に染みているのでは?

豆知識
フェノール抽出って、もともとはタンパク質を精製する過程でDNAや脂質などを除去する手法だった。この時、使われたのはもちろんバッファーしていない酸性フェノール。今でもそういう目的で使われているし、Trizolで中間層、有機層からタンパク質やDNAを回収するトリックもありますね。
その後、フェノールを中性化すると核酸の精製に応用出来るということが発明されて今に至る。
ちなみに、核酸の吸光度で260/280 ratioを見るというのも、もともとは精製タンパク質に夾雑するDNA量を評価する手法だった。

ネタ元は確かMolecular Cloning。

(無題) 削除/引用
No.8641-5 - 2020/02/11 (火) 14:44:51 - おお
Graziano Zanniniさんのコメント、前半はAPさんの説明じゃないですか?科学的根拠といわれれは示せないですが、電荷がある無しは水素結合よりは大きい気がします。

(無題) 削除/引用
No.8641-4 - 2020/02/11 (火) 13:40:16 - PhE
おおさん・APさん、どうもありがとうございます。


おおさん程の方が「一本鎖DNAでどうなるかは知らない」は何だか安心しました。


APさんの詳細な解説、大変恐れ入ります。「酸性フェノールにRNAが溶ける」は、大変すみません、ただの私の打ち間違いでした。

その他の話は大変納得です。やっぱり、窒素原子の水素結合がうんたらは、この状況において重要なファクターではないですよね?

ただ、その後輩は、何かをプリントアウトして、自信満々に前述の話をしていたのが気になります。


…と、今ちょっと時間ができたので聞いてみたら、情報元はResearch gateのQ&Aでした。

https://www.researchgate.net/post/Phenol-chloroform_isoamylalcohol

Graziano Zanniniさんのコメント、Nitrogenで検索すると、ちょうど件の内容の文の辺りがヒットしますね。


うーん、正直どちらも聞きかじりの話になる上に知識もないため、どっちが説得力があるのかすら判別がつかない訳ですが、やっぱりOH基の極性なんじゃないかなぁ、と、初めて見たのを親と思い込むヒヨコの刷り込み効果かもしれませんが、個人的にはそう感じます。



ついでなので重ねて質問させていただきたいんですけど、このpHによるDNA/RNAの溶解って、どれほど完璧なんですかね…?

定量的に測ったことある人はあまりいないと思いますが、酸性フェノールを使うと水相中に0になるほど完璧にDNAはいなくなるのか、あるいはせいぜい50%ぐらいは残ってしまう(逆に言えば、間違えて使っても、完全に下流の実験が失敗する訳ではない)のか……

多分10:0はあり得ないと思うので、禁忌と言いつつ、実際上は間違えて使ってしまっても大丈夫なのかなぁなんて思うのですが、実際の感覚をお持ちの方がいらっしゃいましたらシェアしていただけると幸いに存じます。

pH 4台とかだと、やっぱり相当厳密にDNAはいなくなるものなんでしょうかね…?

(無題) 削除/引用
No.8641-3 - 2020/02/11 (火) 12:51:15 - AP
その反論の論拠となった情報の出元が怪しげ。


それに変なこと言ってる。
「酸性フェノールにRNAが溶ける」だと?
酸性フェノールに分配されるのはDNA。
中性化フェノールではDNAも水層に分配される。
勘違いしちゃいけないのは、酸性フェノールを使うのはRNAを水層に残すためじゃなくて、DNAを有機層に除くため。この効果が必要ないなら(除タンパク質が目的なら)、RNAでもDNAでも、二重鎖でも一本差でも中性化フェノールを使うものだ。

実際、一本鎖DNA(M13系ファージなど)や合成オリゴDNAでも中性化したフェノールで抽出します。酸性フェノール(バッファー中和していないフェノール)は禁忌です。

酸性にするのはリン酸基をプロトン化して電離による荷電を中和するため。
電荷を失うと水に溶けるための極性の大部分が失われるのでDNAは水から追い出される。RNAは2‘OH基の極性で水に残る。対合していない塩基の極性が多少寄与している可能性はあるけど、上にも書いたようにM13 あるいは合成のssDNAの抽出に酸性バッファが禁忌なことからも、塩基の極性だけでは水層に残るには不十分ということでしょう。

(無題) 削除/引用
No.8641-2 - 2020/02/11 (火) 10:33:54 - おお
RNAは酸性で安定
DNAは酸性フェノール中に溶け込むのでRNAとDNAを分けることができる。一本鎖DNAでどうなるかは知らない。

酸性フェノールとDNA・RNA 削除/引用
No.8641-1 - 2020/02/11 (火) 10:03:15 - PhE
ラボの後輩に「一本鎖DNAのフェノクロ処理は酸性フェノールか中性(塩基性)フェノールか」と聞かれ、酸性フェノールはRNA用だから、塩基性でいいと思うよと答えたところ、「でも調べたら、酸性フェノールにRNAが溶けるのはフリーな窒素原子と水素原子が水素結合を形成するからで、二本鎖DNAはフリーの窒素原子が露出していないため…と出ていたよ。そうすると、一本鎖DNAは、窒素原子がフリーだからRNAに近い気がするけど?」と反論されました。

そもそも「RNAには酸性フェノールを使うのはなぜ?」と聞かれ、RNAにはOH基があるから…と答えたら、「いや違うよ。それもあるのかもしれないけど、一番の理由はそうじゃないっぽいよ」という前置きの後に上の反論をもらったんですが、実際普段大して考えずに使っているので、上手く反論できませんでした。

(なお、口調から分かるかもしれませんが、後輩は非日本語話者です)

時間もなかったので結局なあなあで終わったんですが、実際の所本当に水素結合うんぬんが関連してくるんでしょうか…?

ちなみに私も後輩も、化学的な話には全く無頓着で、あまりきっちり考えることをしないタイプ(褒められた話じゃありませんが…)であり、お互い分子レベルの物性を全く頭の中で整理・理解できていない状況です。

無駄話もまじり長くなりましたが、結論として一本鎖DNAは酸性フェノールを使ってはいけないのか、また簡単にその理屈をご教示いただけますと幸甚に存じます。

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