>じゅんさん
私も通りすがりさん同様、反応はマルチウェルプレートを使っています。私の場合は複数の切片を 6-well plate で一度に処理しています。
さて、本題ですが、私の場合は次のように処理しています。
(1) 発色(色素、蛍光)、洗いの後、4% PFA/PBS で後固定します。 蛍光色素がこの固定で弱まることは今までありません。
(2) 固定後 PBS を入れたディッシュに切片を移し、絵筆で切片を拾い、スライドグラス上に移します。絵筆は水彩用の平筆が使いやすいです。切片の大きさに合わせて各種用意しておくと便利です。筆はあらかじめバッファーで十分湿らせて下さい。でないと切片が絵筆に張り付いて取れなくなってしまうのと、切片のスライドグラスの間に気泡が入り、それを除くのが面倒です。スライドグラスは、私は SuperFrost Plus を使っています。コートしたものを使わないと切片が張り付かないと思いますが、張り付きが良すぎると、切片を平らにする前にスライドグラス上に張り付いてしまいます。
また、(1) で述べた固定をしておくと、切片がほどよく堅くなり、この後の作業が行いやすい印象があります。
(3) スライドグラス上に移した切片を、絵筆を使って平らにし位置を整えます。まず湿らせた絵筆で大体の位置を整え、次に乾いた絵筆(全く乾いたものよりも、一度湿らせてからペーパータオルなどで水分を除いたものの方が使いやすいです)で、切片の周りの水分を除きながら、切片を平らにしスライドグラスに密着させます。この辺りは水分を除くスピードを調節しながらやると良いです。はじめはあまり重要でない切片を使って練習するといいと思います。
また、切片の移動には大きめの絵筆、水分を除くには小さな絵筆を使うとやりやすいです。水分を除く絵筆は適宜ペーパータオルなどで水分を除きながら使ってください。
(4) 切片を貼り付け終えたら、スライドグラスを平らな場所に静置し、一晩乾燥させます。通りすがりさんのように短時間でも十分ですが、私は大体一晩おいています。蛍光の場合は暗所において下さい。これで切片が完全にスライドグラスに張り付きます。この作業で蛍光シグナルや発色シグナルが落ちるという経験はありません。
(5) あとは通常の切片と同様に扱って大丈夫です。私は PBS を入れたスライドメーラーにスライドグラスを移し十分洗った後、蒸留水で軽くリンスし封入しています。蛍光の場合は水性系(褪色防止剤入り)、DAB 発色の場合は脱水、透徹後キシレン系の封入剤を使っています。
以上です。なお、私は上記作業を実体顕微鏡下で行っています。蛍光発色の場合褪色が心配でしたが、 Cy2, Cy3, Alexa488 等の蛍光色素では、作業中に激しい褪色が起きることは経験していません。もちろん、作業を素早く行う方が良いのは言うまでもありませんが。
それでは、お役に立てば幸いです。 |
|