10 ugは妥当なところでしょう。
微量RNA精製時のキャリアの意義はアルコール沈殿の補助というのももちろんですが、もっと重要なのは器具への吸着や、有機溶媒抽出時に中間層や有機相にも分配されることによってサンプルRNAがロスするのを防ぐことです。吸着にしろ分配にしろある程度のRNAを奪う容量があり、あつかうRNA量が小さくその容量に近づくほど損失率は大きくなりますし、場合によっては完全に失われてしまうこともあり得ます。なので(アルコール沈殿の直前ではなく)精製の初期段階から大過剰のキャリアを共存させておくのがよいのです。
>しかし、過剰量のyeast tRNAをキャリアにして抽出 → 濃度測定 → 必要量をcDNAへ逆転写、と行った場合最終的に得られたcDNA内に目的の組織サンプル由来のcDNAがすごく少量になってしまう気がするのですがどうしようもないのでしょうか
もちろん、キャリアとしてtRNAを加えた系では、吸光度による濃度算定は無意味です。
PCRがルーチンワークとなった現在、定量不能なほどの微量RNAが扱われることもあたりまえになってきました。そう言う場合みなさん,
慣習的な精製物の定量にはこだわってはいないと思います(ようするに定量しない。その段階ではxxx cells equivalentとかxx ug tissue equivalent程度のとらえ方で十分ではないか? そこで定量することはダウンストリームの実験に必須なのか?)。
もしどうしても吸光度による定量をいれたいなら、キャリアを非核酸性のもの(グリコーゲンとか線形アクリルアミドとか。吸光度にどれだけ干渉するかは知らない)にするとか、逆転写後にcDNA濃度として(RNAを除去して)測定するとか?
通常のtotal RNA抽出の手法では、最終生成物にtRNAはほとんど入ってきません。おおざっぱに言って99%くらいがrRNAで残り1%くらいがmRNAです。
また逆転写でcDNAをつくるとき、ふつうは原理的にmRNAかrRNAしか鋳型にとらない方法であるはずです。従ってcDNAの大部分がキャリアtRNA由来ということはありえません。サンプルのcDNAが微量であるのはもとのRNAが微量なのだからしかたありません。吸着などによるロスを極力防ぐことです。 |
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